フジ子・ヘミング

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東京音楽学校(現・東京芸術大学)出身のピアニスト、大月投網子と
ロシア系スェーデン人画家/建築家ジョスタ・ゲオルギー・ヘミングとの間に長女として生まれる。

クラシック界では異例の大ヒットとなったリストの「ラ・カンパネラ」に代表されるフジ子・ヘミングの奏でるピアノ曲は、その独 特の音色で聴くものの心に強い感動を与える。スウェーデン人の父との別離、そして厳しい母の元での恵まれていたとはいえない幼少時代。希望に燃えて訪れた ヨーロッパでの貧しい生活。それにもまして、耳が聞こえなくなるという、ピアニストにとって致命的ともいえる災難に二度も襲われ、失意の中で過ごした半 生。しかし彼女は、神への信仰、言い換えれば他者への愛と自分自身の強い信念で独自の人生を歩む。

そして晩年にさしかかった時、奇跡は起きる。テレビの特別番組で紹介されたのをきっかけに、彼女の音楽はクラシックファンのみ ならず幅広い層の人々に聴かれるようになる。クラシック部門での日本ゴールド・ディスク大賞の4度におよぶ受賞は、遅咲きの開花というには余りある、奇跡 的な運命といえるだろう。

さらに彼女は他にも私たちを魅了し感動させるいくつもの表現力を備えている。それは、幼いころから描き続けている水彩画や素描などの絵画であり、また彼女の生き方から自然に生まれ出た意味深い言葉の数々である。