Close-Up 金丸悠児
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金丸悠児 |
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![]() かといって、街に対して特別な哲学があるわけではありません。どの作品にも共通しますが、過去の体験だとか、幼い頃に目にした情報であるとかが影響して いるのではないかと思います。例えば、少年期に触れたアニメやテレビゲーム、そんなものも現れている気がします。 例えば、街シリーズは横スクロールのゲーム画面に通じているかもしれません。動物シリーズではよく魚が泳いでいますが、同世代の中には、これがシュー ティングゲームのキャラクターに思えるひともいるんです。街の風景を俯瞰するようなシリーズでは、それを評して「ドラゴンクエストみたい」といったひとも いました。必ずしも僕が狙って意識したものではないのですが、結果的に浮かび上がっているのでしょう。色彩感覚も、自分は学生時分に培ったつもりでいます けど、ひょっとしたら当時の影響があるのかもしれませんね。 小学2~5年生の間、父の仕事の関係でアメリカに住んでいました。その頃は、言葉が うまく通じないものですから、マンガを読 んだりファミコンをやったり。あと動物が好きだったので、日本に帰ってからは熱帯魚を飼ったり小動物を飼ったり。サボテンはアメリカにいた当時、アリゾナ に家族旅行に行った時の記憶ですね。基本的には過去の体験が、僕の表現行動の支柱になっていますね。 よく、和の世界とか、花鳥風月とかいわゆる日本のアイデンティティーを大切にしなくちゃいけないという風潮があったりしますが、僕は少年時代に海外生活 の経験があるせいか、そこに正面から向かうことができないように思うんです。僕が描く世界は、基本的に季節感がなく、どの時間帯でもない、時間が止まった ような絵。生命の起源とか、自分がどこからきたのかといった、普遍的な要素を描きたいんです。シーラカンスやアロワナなどの古代魚や亀などの時間を司るよ うな神秘的な動物をよく描くのは、そこに魅力を感じるからです。「この魚は何億年も前から地球上で生きてきたんだな」と考えると興味は尽きないですね。 金丸悠児 |